プロトタイプのはなし
最近、会社でよくプロトタイプをつくったり、アドバイスしたりしているのでそこでよく話題になることをまとめてみました。
テーマはひとつに絞る
こういうサービスにしたいなーって思いからプロトタイプの作成をしはじめてちょっと経ったあとによく出る問題なのですが、あれもこれもと思いつく機能を組み込もうとした結果。。
- プロトタイプの域を出て一人でつくれるものではなくなってしまう
- そもそもそのプロトタイプがなんなのかわからなくなる
ということがよく起きます。
そうならないために気をつけるポイントとして
- ほんとに最小限必要なものだけにしてそれ以外の部分は一度置いておく
です。
よくmustとmoreを切り分けようなんて話をするのですが、あくまでプロトタイプなのでそれが成立する最小限のmustだけを洗い出し作り上げることが最優先。
そして余分なものがないのでそうして作り上げたプロトタイプは見た人にダイレクトに伝わります。
実際にサービスにするときはその後にそれをより顧客(ユーザー)に伝えるためのデザインや活かし方を検討しとりこんでいくのが結果的にスピード感がでます。
システム的な本質とビジネス的な本質は違うもの
よく、「こういうサービス・ビジネスをしたいんでプロトタイプを作りたいんです!」という話を聞きます。
そのときにサービス・ビジネス=プロダクト・システムになっている人が多いように感じます。
しかし、「プロダクト・システム」は「サービス・ビジネス」の1要素であってイコールで結ばれるものではありません。
「サービス・ビジネス」には
- 顧客・ターゲットとは誰か
- 顧客・ターゲットに提供する体験・解決する課題
- 顧客・ターゲットと接触するためのチャネル
- 顧客・ターゲットが利用するソリューション(プロダクト・システム)
が含まれます。
「プロダクト・システム」は
- なにをするものなのか
- なにを管理するものなのか
が本質になります。
ECサイトを例としてみると
「サービス・ビジネス」としては
- 顧客・ターゲットとは
- 買い物をしたい人・商品を売りたい人
- 顧客・ターゲットに提供する体験・解決する課題
- お店に行かなくても買い物ができる
- お店に入り切らないような大量の商品を見ることができる
- お店を持っていなくても商品を売ることができる
- 顧客・ターゲットと接触するためのチャネル
- インターネット上
- 顧客・ターゲットが利用するソリューション(プロダクト・システム)
- Webサイト(スマホ・PC)
「プロダクト・システム」は * なにをするものなのか * 人がデータを登録することができる * 人が登録されたデータ群から任意のデータを選択できる * 人が選択したデータに対して購入(支払い)という行いができる * 購入(支払い)されたデータが購入者の所有物になる * なにを管理するものなのか * 出品者 * 顧客 * 商品 * 購入(支払い)情報
といったところでしょう。「プロダクト・システム」では商品という言葉を使わずデータという言葉を使用していますが、それは「プロダクト・システム」が商品に依存するものではないからです。
これをECサイトではなくクラウドファンディングサイトに読み変えてみると
「サービス・ビジネス」としては
- 顧客・ターゲットとは
- 資金を集めたい人・新しいものが好きな人
- 顧客・ターゲットに提供する体験・解決する課題
- アイテムを作るための資金を集める
- 誰も見たことのないアイテムを手に入れる事ができる
- 顧客・ターゲットと接触するためのチャネル
- インターネット上
- 顧客・ターゲットが利用するソリューション(プロダクト・システム)
- Webサイト(スマホ・PC)
「プロダクト・システム」は * なにをするものなのか * 人がデータを登録することができる * 人が登録されたデータ群から任意のデータを選択できる * 人が選択したデータに対して購入(支払い)という行いができる * 購入(支払い)されたデータが購入者の所有物になる * なにを管理するものなのか * アイテム出展者 * 資金提供社 * アイテム * 購入(支払い)情報
と人とものが動くということだけを見据えて作ると実はほぼほぼ同じシステムで解決します。
※もちろんデザインやユーザーの動線など魅せ方や規約ページなど上に載るものは全然ちがいますが
この考え方をしておくとひとつのアイディアがだめだったから0からやり直しということにはならないのです。
まとめ
プロトタイプとしてシステム・ツールを作るときに自分がポイントとしていることは
- ひとつひとつのアイディアを形にするまでのスピード感
- どんどん次のアイディアを形にできる資産にする
ということです。
一度作ったプロトタイプを使いまわしできるように最低限のパーツとして作成しそれを組み合わせることでひとつのかたちになるように設計しておき、新しいものが思いついた時に不足部分だけ作り前に作ったのもと組み合わせることで新しいプロダクトになるようにすることでどんどんスピード感とテンポが上がっていきます。
プロトタイプ作成のひとつの考え方だと思いますので参考になれば。